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コラム

プログラマ自身が顧客に会い、サービスを提供することの利点

プログラマというと、1日中パソコンに向かって脇目も振らずコーディングに明け暮れているイメージがある。
大きな組織、大きなチームの一員として「コーディングだけ」を担当するのが仕事であればそれでもよいかもしれない。
 
しかし、フリーランスもしくは小さなチームで仕事をしているプログラマはそれではダメだ。
 
コーディングによって生産されるソフトウエアはその個人・チーム・会社が提供するサービスのほんの一部でしかないことを悟ろう。
もっと言えば、小さな組織においてプログラマは顧客に「直接」サービスを提供する位置に立っている。
 
であれば、プログラマは顧客に会い、顧客の話に耳を傾けて、顧客の抱える問題を解決しなければいけない。
「問題を解決するであろうソフトウエア」ではダメなのだ。
「問題を解決するソフトウエア」でなければならない。
 
 
我々BasicWerkを例に説明しよう。
 


 
BasicWerkは、中小ECショップの運営にやたらと詳しい営業・サポート畑出身の羽持と、ECプラットフォームのことはひと通り知っている技術畑出身の僕(中村)の2人で始めたビジネスだ。
 
はじめのうちは営業担当の羽持が顧客からの要望を持ち帰ってきて、僕は言われるがままにコーディングしていた。
僕自身がネットワーク構築の経験などが殆どないこと、副業で始めたので時間がなかったこと、そして何よりもお金がかけられなかったこともあって、顧客の要望に応えるためのソフトウエアは場当たり的にコマンドラインで開発された。
コマンドを打ち込んで操作するソフトウエアとはつまり(僕達の状況で言えば)開発者の僕以外「誰も」使うことができないソフトウエアということだ。
 
BasicWerkがスタートする前も、スタートしてから暫くの間も、僕達はずっと「いつかたくさんの顧客が使ってくれるWebアプリケーションを作って売り出そう」と夢見ていたので、開発者しか使えないコマンドで仕事を回していることに少々後ろめたい感じを抱えながらのスタートアップとなった。
(たくさんのユーザに使ってもらうのは夢のまた夢で、現実は、僕の作ったソフトウエアのユーザは僕1人なのだ!)
 
しかし、仕事を進めれば進めるほど、これがうまく行った。
 
僕自身も羽持について顧客と会う機会を増やすようになってから悟ったことだが、顧客が最も望んでいたのは「小難しいソフトなんてぶっちゃけ触りたくもない!」ということだったのだ。
 
どこの大手ソフトウエア会社でも製品紹介ページを見ればこんなうんざりする売り文句が書いてあるだろう。
 

弊社のソリューションは豊富な機能と充実したサポート体制でEC店舗の業務を強力にバックアップします!

 
これは真っ赤な嘘だ(マジで)。
 
いわゆるソリューションを売って歩いてる会社の現状はこうだ。
 

  • 実際はゲロが出そうな大変な作業を、その会社の営業は「簡単ですよ」と言い張るか、もしくはその作業の存在を知らない
  • ソリューションは効率化と同時に開発側のルールを押し付けてくる。ちょっと道にそれた使い方をしようと思うと「仕様です」と突っぱねられる
  • サポートセンターに問い合わせたところでその場で回答がもらえることは稀だ。ひどい場合はどうとでも取れる回答がテンプレで返ってくる

 
すべての会社がこうだとは言わないが、(自らの経験から)手広くソフトウエアをばら撒いていれば、ある程度こういう傾向は必要悪としてまかり通っているのが現実ではないだろうか?
 
BasicWerkはその逆を行ったと言える。
サービスもマーケットも小さく小さく絞り込んだのだ。
 
その結果、
 

  • ゲロが出そうな大変な作業はそのまま丸っと巻き取ってしまって、僕達の中で徹底的に効率化した
  • ルールは顧客ごとに話し合って決める。必要に応じてルールはいつでも変更できる。仕様は凝り固まったものではなく、顧客と僕らとの間の「共通理解」程度の意味になる
  • 顧客からの問い合わせには僕達自身が対応する。サービス全体のことは羽持、技術的なことは僕が自分の仕事として責任を持って返答する

 
まさにソリューション(解決策)の提供を実現したわけだ。
 
 
今では自分の開発したコマンドラインで動くツールたち、そして顧客向けGUIを持たない僕達の「ソリューション」を恥じる気持ちは全くない。むしろこのやり方に誇りを持って仕事をしている。
 


 
プログラマは週に数時間でも顧客に会うための時間に割いて、自分のやっていることを自分自身で検証したほうがよい。
自分の思い描いているソリューションと、顧客が求めている解決策が一致して初めてサービスは回り出すわけで、自分のやっていることを顧客にフィットさせる努力を怠ると途端に無駄な作業が増える。
 
誰もほしくないアプリケーションのコードをリファクタリングする前に、誰か一人でも「それが必要だ!」と言ってくれる解決策を見つけよう。
 
 
 

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