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コラム

フリーになって1年目で気づいたこと

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ちょうど一年前 メモ:フリーになって1週間目で気付いたこと という記事を僕の個人的なブログに書いた。
 
この1年はいろいろなことがあった。
本当にたくさんの人にお世話になった。心から感謝しています。
ありがとうございます。
 
何かの本にも書いてあったけど、自分で事業を始めると「お世話になっております」というあいさつの重みが明らかに違う。
本当にお世話になっているので、自然と心がこもる。
ビジネス的なつながりかどうかに関わらず、会う人全てに感謝できる心持ちを得られたというだけで、僕はフリーになって良かったなと思う。
 
こんな風に書くと「じゃあお前はフリーになる前はたいして人に感謝していなかったのか?」と怒られそうだ。
反省も込めて思い返してみると、感謝したりしなかったりしていたというのが本当のところだと思う。
感謝の心で接することができなかったたくさんの人たちに謝りたい。
ごめんなさい。
 
一年前(2012年の暮れから2013年のはじめにかけて)、我々の事業は本格始動して早々に経済的困難に見舞われた。
計画が甘かったといえばそれまでだが、当時のクライアント数と収益では到底大人二人分の生活を賄うのに十分ではなかった。
 
相方の羽持は早々にアルバイトを始めた(事業が軌道に乗った今もそのバイトが楽しいらしく、出勤日数は減ったが現在も続けている。彼にとってはお金のもらえる息抜きであると同時に、大事なマーケティングの時間であるらしい)。
 
僕自身も2012年の11月に退社したばかりの会社の上司に連絡を取ってなんとか職場復帰させてもらえないか頼んでみた。
よく心臓に毛が生えていると言われるような僕でも、それなりに情けないというか惨めというか、そういう気持ちはあったが背に腹は代えられなかった。
こんな僕と話をする機会に応じてくれ、再度会社に迎え入れてくれた上司や同僚のみんなには本当に感謝してもし切れない。
 
 
さて、そんなどん底のスタートを切った2013年を振り返ってみて気づいたことをいくつか挙げてみよう。
 
 

制約を作る

 
どん底を経験した時期の僕たちは、思い返してみると暇すぎた。
暇すぎる時間は自然と余計な考えを呼ぶものだ。
どんなに精神力が強くても自分の中に渦巻く捉えどころのない煩悩に打ち勝つのは非常に難しい。
 
僕たちはフリーランス以外の仕事をすることによって、経済的安定を手に入れると同時に、時間の制約を手に入れた。
時間に制約があると、許された少ない時間内でなんとか仕事をこなそうとする。
また、スタートしたばかりの僕達は顧客が想像している以上のクオリティを提供して信頼を勝ち取る必要があった。
単に素早くやれば良いということではなく、精一杯出来る限りの高いクオリティを目指すことが「必要条件」だったのだ。
だから最短の時間で最高の成果を上げるためにはどうすれば良いかを考えながら日々業務を改善していった。
 
人間は何か制約がないと創造的な仕事をして結果を出すことが意外と難しいということを身体で学んだ。
 
 

集中できる時間を知る

 
時間的な制約の中で仕事をしていると、自分が集中力を発揮しやすい時間帯や集中が持続する長さを認識せざるを得ない。
 
一年前のメモでも書いているが、一番集中できる時間帯が午前中であることは今でも疑う余地がない。
 
これは羽持も僕も同じだった。
羽持はそもそも夜の時間帯にバイトすることによって午前中をゴールデンタイムに充てた。
 
僕は会社復帰後しばらくは朝からフルタイムで出社していたが、契約更新のタイミングで午後からの出社に切り替えてもらった(このとき無茶なお願いを聞いてくれた上司には本当に感謝している)。
この契約変更によって午前中の時間帯をフリーの仕事に費やせるようになってからは目に見えて仕事の生産性がブーストした。
 
そしてこの一年の間に更に分かったことは、

  • 集中が持続するのは、僕の場合、最大5時間である
  • 静かな場所でなければ集中できない
  • 最低7時間は睡眠を取らなければいけない
  • 週に一日は休まなければいけない

 
いくつか「そんなの当たり前じゃん」と思われることもあるだろうが、これらを理屈ではなく体感として知り得たことは大きな収穫だ。
なぜかといえば、フリーランスにとってこれらの生活サイクルを支える要素はサービスを提供するための物差しになり、ひいてはサービスの価格を決める基準などにもなるからだ。
 
自分がベストな状態で仕事を行える状態というものを定性的・定量的の両面から自覚することは、経済的保証がないに等しい者にとって最も重要なことではないだろうか。
 
 

自分には責任がある

 
この一年で一番変わったのは冒頭に書いたとおり心持ちだと思う。
仕事とはなんでもそうだと思うけど、心持ちが変わると取り組み方も変わる。
 
更に言えば、戦略が変わる。
自分自身が経営者であるフリーランスは、すべての意思決定に自分のメンタリティが直接関わるからだ。
 
自分の思い通りに行って喜ぶのも、何かに阻まれたり想定外の方向に流されたりしてしまって苛立つのも、すべて自分の責任直下のできごとなのだ。
だからある事象が外的要因で起こったことであろうが「自分には責任がある」と言い聞かせることにしている。
 
こうすると何故か気持ちがすっきりする。ネガティブな感情を引きずらない。
思ったとおりにならないのであれば「じゃあ、どうする?」と次の手を考える心的余裕を持つことができる。
 
同じようにうまく行った時も「自分には責任がある」と一言心のなかで唱えてみる。
するとどうだろう。無駄に浮かれないで済むのである。
 
これはすごく大事なことで、浮かれている状態(一時的な興奮状態)では正しい判断ができない。
正しい判断とは目前の一時的な利益に踊らされないように小さな決断をすることだ。
 
例えば思いも寄らないところから一発1000万円の仕事がごろんと転がり込んだとする。
 
これに反射的に反応すると、

  • 自分が評価されて嬉しい!
  • この収入を元にあれもこれもできるな、うしし。
  • よっしゃ、全力投球で頑張るぞぉ!

 
という一次的思考が脳内でホルモンを分泌させて一種の興奮状態を作る。
これを「浮かれてる」という。
 
ここで「自分には責任がある」と数秒で良いので自分に言い聞かせ、冷静さを取り戻す。
すると、
 

  • そもそもクライアントは自分のことを知っていて、かつ信頼して仕事を依頼しているだろうか?
  • この案件の要求は本当に自分がプロとして請け負えることだろうか?
  • このプロジェクトのコンセプトは自分のガイドラインに反してないだろうか?
  • この案件のために既存案件の納期は守れるだろうか?
  • この仕事はやって楽しいだろうか?自分の実になるだろうか?

 
このように本来考え抜けなければいけない大事な部分が浮き彫りになる。
これを二次的思考と呼ぶ。
 
二次的思考の評価基準をしっかり満たしているのなら前向きに検討すればいいし、満たし得ないのであれば早々にお断りするべきだ(変に期待をかけさせないのも礼儀だと思う)。
 
この「自分には責任がある」というフレーズは フォーカル・ポイント(ブライアン・トレーシー著) に載っていた言葉で、この本の内容はいろいろ参考になることが多いが、その中でも最も今の自分に有効に働いている考え方のひとつだ。
 
余談だが禅などの仏教思想をビジネスに活かす考え方も結局のところ「全てに責任を持つ」というスタンスありきで組み立てられている。
ちょっとでも不本意なことがある度に愚痴っているようでは何事も成し遂げることはできないということだ。
 
それと二次的思考という観点は 投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識(ハワード・マークス著) の冒頭に出てくる話が参考になっている。
これはタイトルの通り投資家向けの書籍だが、フリーランスは自分のスキルや時間を仕事に投資して利益を得ていると考えると、別段株式投資などをやっていなくても参考になることがとても多い。
 
 

正直になる

 
できることはできる(そして実行する)。
できないことはできないとはっきり伝える。
やりたいことは声や文章で具体的に伝える。
 
こうしたことを自分自身に嘘をつかず正直に、もっと言えば実際の行動に移していかないとフリーランスはやっていけない。
自分についた嘘がそのままリスクとして返ってくるからだ。
 
フリーランスは脆い。
それは一年前に痛いほど経験した。リスクは人間一人が許容できる範囲になんとしても収めなければいけない。
 
フリーランスとして信頼関係を築いた顧客に対しては正に「不断の努力」で応えなければならない。
少しでも手を抜いたり、ビジョンがブレたりすると、簡単に乗り換えられてしまう。
今どき僕らよりも低コストで同じようなサービスを行っているフリーランスや企業が沢山いるからだ。
 
僕らは他との差別化を腹八分目程度には行っているが、そこまで差別化すること自体に心血を注いでいるわけではない。
それよりも僕達が他ならぬ僕達であることにより注力している。
 
それには大前提として正直でなければならない。
 
僕達は裏表のないストレートな意見を言い合える関係をクライアントと築いていきたし、これからもこのスタンスは変わらないだろう。
どんなに難しい問題に対しても、こうして気持よく正面から取り組める環境とビジネス面での「個性」を作れたことがこの一年の一番の収穫だと思う。
 
 
 

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